レジオネラ菌の怖さ|東京・品川(風呂釜掃除)

私たちの敵、レジオネラ菌。正確には「レジオネラ属菌」と言います。

「レジオネラ」というと温浴施設などでよく話題になります。温泉に行くと脱衣所なんかに「レジオネラ検査済み」のシールが貼ってあるので、皆さんも一度は目にしたことがあると思います。でもレジオネラというのは別に温泉に生息しているのではありません。皆さんの身の回りに普通にいます。彼らは土の中や川、湖、沼などのごく普通の自然界に生息している細菌の一種です。多分お庭のある家でしたらそこにいます。

ではなぜレジオネラ菌とお風呂が密接に結びついているかといえば、レジオネラ菌がバイオフィルムに寄生して増殖していくからです。バイオフィルムというのはこのブログでもよく出てくる言葉ですね。日本語で言うと「生物膜」。台所の排水溝をちょっと放っておいたらなる、あの気持ち悪い「ヌメヌメ」です。「水のあるところ」に必ずできます。そう、だからお風呂と結びつくわけです。そしてまずバイオフィルムの中で増殖する常在細菌を餌にして「アメーバ」が増殖します。そしてレジオネラ菌はアメーバの中に「寄生」して、最後にそれをぶち破って出てきます。エイリアンみたいなやつですね。ちなみにレジオネラ菌などの細菌たちにとってお風呂のお湯は38~42℃と、彼らにとって絶好の繁殖温度になるって寸法です。

ただ、レジオネラ菌が入った水を飲んでも感染すると言うわけではありません。この水中の微粒な菌が、シャワーや湯気によって空間中に飛散して霧状(エアロゾルと言います)になって、それを人間が吸い込むと、呼吸器から肺に感染します。

感染した場合、軽症な「ポンティアック熱」という症状の場合は大したことないのですが、「レジオネラ肺炎」になると大変です。死亡率は最大で30%。シャレになりません。また、理由は分かっていませんが感染者は男性が圧倒的に多く、その平均年齢は60.8歳。つまり私のような中高齢の男性は特に気をつけたいところです。

私は以前、化粧品会社に勤めていましたが、そのあと「公共施設の運営管理」をするという会社に転職しました。公共施設とは文化ホールや公園、図書館、体育館、果ては空港から斎場まであるのですが、その中に「温浴施設」というのもあります。私はその会社で温浴施設の運営もやっておりまして、それはそれはレジオネラ菌には敏感でした。お客様をレジオネラ症に感染させた場合、お店の営業停止はもとより、温浴施設の運営権自体も剥奪されますし、温浴施設ばかりでなく他の管理施設の運営権も取り消されてしまうからです。そうなると会社自体が傾きますから大変です。また最悪のケースでは、施設管理責任者は、業務上過失致死罪などの刑事責任が問われる事もあります。

こんなことがありますので、温浴施設では毎日欠かさず水質検査をしているわけです。そして塩素の投入もします。温泉なのに塩素臭いのはそのせいです。湯量が豊富で湧き出るお湯の温度が高い場合は「源泉かけ流し」ができますので、その場合はあまり大きな問題が出ません。家庭のお風呂で言ったら大昔のお風呂です。「沸かすだけ」というやつですね。お湯が蛇口から出てきて「足し湯」をするだけのタイプです。

でも多くの温泉ではお湯を循環させています。浴槽のお湯をいったんろ過して暖め直してまた注ぐわけです。ただ、ちょっとでも気を緩めるとどこかに必ずバイオフィルムが生成されてそこに細菌が繁殖しますから、施設の人々は日々努力しているわけです。毎日あの広~い浴室を徹底的に掃除するのもそのためです。夏なんてホントに大変です。

ところが最近、温浴施設ばかりでなく家庭内のお風呂でレジオネラ菌が発生する事例が出てきています。

なぜ?

これは国立感染症研究所の2015年のレポートです。

家庭で、追い焚きのある系で、(レジオネラ属菌の)検出事例があります。
1)旧い配管。薬品洗浄してとれた湯ドロに多量の菌
(岩城舞子ら、生活と環境54:79-81、2009)
2)毎日交換せず。
1日おきに水交換で L. anisa (レジオネラ属菌の一種)検出。
1週間かえず L . pneumophila(レジオネラ属菌の一種)血清群1検出、浴槽の湯 で
洗髪し、感染が疑われた。

資料:国立感染症研究所 レジオネラ症の最近の話題と動向(2015年2月6日)

そう、これが「追い焚き配管」に起因しているわけです。追い焚きは確かに便利で優れものなんですが、レジオネラ菌という非常に怖い細菌が繁殖する恐れがある、ということを私たちはもっともっと認識しなければいけないわけですね。

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